下野の方より遺言書に関するご相談
2024年07月03日
Q:行政書士の先生、確実な寄付のためには、遺言書を作成した方が良いのでしょうか(下野)
私は結婚してから下野に住んでいる70代の主婦です。十数年前に主人を亡くし、現在は自宅を売り払ってアパートで一人暮らしをしています。私はもともと倹約家なので、今は主人の遺産で十分生活できています。ただ、私たちには子供がいないためこのままでは私が死んだ後、かなりの遺産が残ってしまうように思います。私の両親や兄弟は既に亡くなっていますし、相続人といって思い浮かぶのは他県に住む亡き兄の子だけではないかと思いますが、会ったこともない子に遺産を譲るというのも腑に落ちないものがあります。それならば、下野で頑張っている人たちを支援した方が良いのではないかと最近思うようになりました。たとえば、障害者施設や、親のいない子供のための施設、老人ホームなどといった団体にでも寄付した方が主人も喜んでくれるのではないかと思います。ただ、寄付は私が死んでからのことですので、確実に寄付されるかどうかが不安です。遺言書を作成すれば、確実に希望先に寄付出来ると聞いたので詳しく教えて下さい。(下野)
A:公正証書遺言という方式で遺言書を作成しましょう。
財産を寄付したいという場合には、その旨を記載した遺言書を作成します。もしご相談者様が遺言書を作成しなかった場合は、亡くなったお兄様のお子様が相続人となって財産を相続することになるでしょうし、相続人調査の結果次第では相続人が増える可能性もございます。
ただし遺言書の作成といっても、どの遺言書でもいいというわけではありません。ご相談者様が懸念されているように、寄付はご自身が亡くなった後のことですので、確実に寄付されるのかといったご不安があるかと思います。遺言書の普通方式には、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言の3種類あり、確実な寄付をお望みでしたら公正証書遺言で作成されることをおすすめします。公正証書遺言は、遺言者が公証役場に出向いて、公証役場の公証人が遺言者の伝聞した内容から作成する遺言書です。他の2種の遺言書は遺言者が自由に作成するため、遺言書作成のルールを守らないと無効となってしまう可能性があります。その点、法律の専門家である公証人が作成する公正証書遺言は、方式に不備がないため、無効となる心配がありません。また、公正証書遺言は原本が公証役場において保管されるため紛失や改ざんの恐れがなく、遺言書の検認手続きも不要です。
また、相続人以外の団体へ寄付される場合は、遺言書の内容を実現するために必要な手続き等を行う権利義務を有する遺言執行者を決めて遺言書に名前を記載しましょう。遺言執行者は信頼できる人に頼み、併せて公正証書遺言が存在することを伝えてください。
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